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岐阜地方裁判所 昭和60年(わ)379号 判決 1985年10月18日

本籍

岐阜市京町一丁目一三番地

住居

右同所

職業

会社役員

大野弘

昭和六年九月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官松浦由記夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、岐阜市京町一丁目一三番地において、大野大仏堂の名称で仏壇仏具の小売業を営む者であるが、売上の一部を除外して、これによって得た資金を簿外の預金に充てるなどの方法により、所得の一部を秘匿して自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和五六年分の実際所得金額が六二八七万二七〇九円で、これに対する所得税額が三二四九万五三〇〇円であるのに、右実際所得金額中三九八九万三三四六円を秘匿したうえ、昭和五七年三月一五日、岐阜市千石町一丁目四番地所在岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二二九七万九三六三円で、これに対する所得税額が七八九万六〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により前記正当税額との差額二四五九万九三〇〇円の所得税を免れ、

第二  昭和五七年分の実際所得金額が五九四一万二五四八円で、これに対する所得税額が三〇三七万三五〇〇円であるのに、右実際所得金額中三二三一万四四二五円を秘匿したうえ、昭和五八年三月一五日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二七〇九万八一二三円で、これに対する所得税額が一〇三一万四一〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により前記正当税額との差額二〇〇五万九四〇〇円の所得税を免れ、

第三  昭和五八年分の実際所得金額が五九九五万一〇六八円で、これに対する所得税額が三〇六九万二七〇〇円であるのに、右実際所得金額中三五五〇万七四四四円を秘匿したうえ、昭和五九年三月一五日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四四四万三六二四円で、これに対する所得税額が八八二万八〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により前記正当税額との差額二一八六万四七〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

被告人の当公判廷における供述のほか、公判調書中の検察官請求証拠等関係カード記載の次の請求番号の各証拠判示事実全般につき、1、12ないし16、18、20ないし23、25ないし27、29ないし33、35、36、148ないし150、152ないし154、156ないし159

判示第一の事実につき2、5、6、17

判示第二の事実につき3、5、7

判示第三の事実につき4、9、19、24、28、34、151、155

(法令の適用)

罰条 年度ごとに所得税法二三八条一項・二項(懲役刑と罰金刑を併科)

併合罪 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき同法四八条二項(罰金額を合算)

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項一号

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 山川悦男)

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